事例紹介
事業者情報
耕合同会社(NIWA TOKYO OME)
所在地:東京都青梅市梅郷4-1832
業種:キャンプ場管理・運営
従業員数:10人
https://peraichi.com/landing_pages/view/niwa/
ゴルフ場跡地を整備 広大なキャンプ場として再生
NIWA TOKYO OMEは、「自分の家の庭で遊ぶように、いつでも気ままにアウトドアを楽しめる」というコンセプトで作られたキャンプ場です。
当施設を運営する耕合同会社は、東京青梅産の農産物・畜産物等を多くの人々に食べてもらうことによって、青梅の魅力を発信していき、地域を活性化させることを目標に設立されました。ECサイトでの農産物・加工品の販売、カフェの運営、青梅市の学校給食センターへの食材の納入を行っており、青梅の食材を地元だけでなく全国に提供しています。
NIWA TOKYO OMEの立ち上げは農産物・加工品の保管場所がきっかけでした。
内山英紀(うちやまひでき)代表は耕合同会社の事業を続ける中で、地元産収穫物の保管場所を探していたところ、地元青梅の元ゴルフ場管理棟に着目。管理棟を利用することで、地元の契約農家の収穫物をまとめて保管でき、さらにそれらの加工品の企画・開発の場としても活用できました。
次に、内山代表が注目したのは管理棟周辺の広大な土地でした。この雄大な自然を活用すれば、都心に住む人々が地方に出かけることなく気軽に足を運べ、都心ではなかなか味わえない「庭」感覚を提供できます。そこで東京都内でも有数の広さを誇るキャンプ場として再生することを計画。ソーシャルファームであるNIWA TOKYO OME発足に至りました。
「都心から約90分の豊かな自然に囲まれた青梅でグランピングやキャンプを楽しむことができます。ロープウェイも楽しめる御岳山の近隣にあり、ゴルフ場跡地なので開放感は格別です。雄大な自然を存分に満喫できるので、ご家族や気の合う仲間と過ごせます。サウナテントも使えますし、自転車のレンタルサービスを利用すれば、近隣の青梅散策も可能です」と内山代表。
就労に困難を抱える方が力を発揮できる場に
以前、近隣の就労継続支援B型作業所から施設外就労の受け入れを行った際に、内山代表が障害のある方に「将来どんな仕事がしたいですか」と尋ねたところ、就職し「きちんと仕事をしてお金を稼ぎたいです」という答えが返ってきたそうです。
「就職先を探すということ自体が、彼らには非常に難しく切実であるということに気づくきっかけになりました」と内山代表。それ以降、障害のある方を雇用するための取組を何かできないかと同社は考えるようになったそうです。
「そんなとき、同作業所から、認証ソーシャルファームという制度ができるという話を聞きました。NIWA TOKYO OMEであれば、あまり負担にならない作業もいっぱいあるので、すぐに採用活動を始め、精神疾患のある4名のスタッフを受け入れることになりました。ぜひ力になってもらいたいと伝え、現在活躍していただいています」と内山代表。
適材適所で活躍の場を拡げる
就労が困難な方を雇用するうえで、内山代表は柔軟な姿勢で対応しています。
「人と直接接する対面の仕事が苦手であれば、キャンプ場の整備や『KOYA』と呼ばれている管理棟内での清掃やちょっとした作業をしたり、契約農場での野菜作りを手伝ったりと、自分を活かせる仕事は見つけられます。作業ごとに指導・助言する責任者を置くことで、作業に間違いがないようきめ細かくサポートしています」とのこと。NIWA TOKYO OMEでは雇う側、雇われる側がともに、ストレスなくスムーズに事業を進められる体制になっています。
将来の事業展開に向け まずは知名度アップ
事業の将来について、内山代表は期待を込めて語ります。
「まずは現在の事業でさらに収益を確保することです。農産物・畜産物であれば商品メニューを増やしたり、加工を変えて新しい商品を考案したり、販路を拡げて新たな取引先をつくったりと営業、現場ともにいろいろな構想を練っています。NIWA TOKYO OMEについては、既存のウッドデッキ、芝デッキのスペースに加え、休日を愛犬と一緒に過ごせるようドッグランの設営を予定しています。利用されるお客様の要望に応えることで、経営をより安定した軌道に乗せられます」とのこと。
そのためにも、積極的に採用活動をしています。ホームページ等を充実させ、SNSを通じた情報発信も強化する予定です。まずは耕合同会社の物販と、NIWA TOKYO OMEを多くの方に知ってもらうこと。より多くの方に認知してもらうことで、事業のチャンスも拡がると内山代表は考えています。
農業経験が活きる職場で存分に力を発揮
2021年9月にスタッフとして採用されたばかりのNさん。もともと愛媛県で農業ボランティアの経験があり、キャンプ場の整備、農作業など耕合同会社での仕事にはすぐに馴染めたそうです。取材時、キャンプ場はオフシーズン。
「剪定で集めた捨て木や倒木の回収、刈り込み、薪割りなど来シーズンに向け、さまざまな作業があります。また農場での農産品育成の手伝いなどもやり、少しずつ仕事の幅を拡げています」
まだ半年とはいえ、仕事に楽しさを覚え、充実した毎日を送っています。
入社、間もないながら確かな手応え
Yさんが採用されたのは2021年9月。現場仕事にも少しずつ慣れ、働くことをより楽しめるようになりました。主に『KOYA』内の清掃やキッチンカウンター内の作業を任され半年になります。
「働き始めた当初は、指導する立場にある方にまず教えてもらい、作業が終わったら細かく見てもらうというステップを踏んでいましたが、最近はまず自分で作業をした後、責任者に確認してもらうようになりました」
Yさんは、わずか半年でも成長できたことを実感しています。
本格シェフによる 高級フレンチの提供も
「NIWA TOKYO OMEでは食材、飲み物、テントなど必要なものはすべて用意してあり、手ぶらで来ても、持ち込みでも対応しています。また、特別な日のスペシャルな料理として、銀座レストランシェフによるフレンチも提供できます」と内山代表。
耕合同会社は、NIWA TOKYO OMEでのサービスを充実させることで、就労に困難を抱える方の活躍の場を拡大しています。
(令和4年1月取材)