事例紹介
事業者情報
大東コーポレートサービス株式会社(RPA推進事業部)
所在地:東京都虎ノ門4-1-28 虎ノ門タワーズオフィス19F
業種:RPAプログラム開発
従業員数:18人
https://www.daito-copo.com/
“特例子会社”としての新たなチャレンジ
大東コーポレートサービス株式会社は、2005年5月、障害者雇用を目的に、大東建託株式会社の「特例子会社」として設立されました。
同社は、2016年にグループ全体の生産性向上を目的にシェアードサービス業務を行う関連会社と合併。2019年からRPA事業に参入し、「RPAプログラマー」として精神・発達障害のある方を採用。障害者の職域開拓を進めてきました。
RPAとはロボティック・プロセス・オートメーションの略。従来は人の手で行っていた定型業務をロボットに自動処理してもらう仕組みです。
パソコン内で登録、検索、チェック、ダウンロードなど手作業で行っていたものを機械で自動的に動かすためのプログラム作成です。ソーシャルファームでは、このRPA事業を展開しています。
ソーシャルファームに取り組むきっかけは2年前。社内のある事業所で、短時間の勤務しかできない障害のあるAさんの採用を検討する機会がありました。「週20時間未満労働の場合、障害者雇用率のカウント対象外となるため、“雇用率にカウントされないことを理由に採用しない”という選択肢に違和感を持ち、短時間でも働く場所を提供できないかと考える契機となりました」、と代表取締役社長の福田和宣さん。(Aさんは採用され、現在も勤務されているとのことです)。
ソーシャルファームで採用・定着にあたり、会社として工夫したこと
就労に困難を抱える方は、短時間勤務からスタートする方が多い。一カ月、三カ月、半年と状況を見て、勤務時間の延長や、出勤日を増やすなど勤務体系を変えることができ、勤務が安定したところで、本人が希望すれば正社員へ登用します。
通勤が難しい方のためには、在宅勤務ができる体制も整えています。朝夕、オンライン上でチームリーダーとプログラマーで個別に進捗確認と相談事などを話す時間を設けており、在宅勤務でもオフィス勤務と同じ環境を整えています。一般的に在宅勤務は生産性の向上が難しいと言われていますが、円滑にコミュニケーションをとることで、コロナ禍でも効率を落とすことなく業務に取り組むことができています。
チームリーダーは、業務上の確認のほか、髪型・服装・顔色などをチェックし体調面も確認しています。気になることがあれば、社内の専門相談員へ相談し、どのようなサポートが必要か助言を得ています。業務中は根を詰めすぎないように休憩指示をすることもあります。
また、精神保健福祉士による月1回の定期面談では、同僚や上司に言いづらいことも相談できる体制づくりをしています。「いろいろなことが話せる定期面談があるということで安心して働ける」など、好評を博しているそうです。健康面の相談は保健師が対応。「第三者」ともいえる中立的な専門相談員が個々の状況に応じたサポートを実施し、ソーシャルファームの理念である「共に働く」の実現に取り組んでいます。
生産性向上と雇用拡大の両立に向けて
同社は、大東建託グループの生産性の向上とともに、特例子会社として障害者雇用への取り組みを進めてきました。
現在、ソーシャルファーム事業所である虎ノ門オフィスでは、障害者手帳を取得できない障害のある方、育児、介護などで勤務時間などに制約がある方の採用実績があります。しかし、「プログラミング職で、就労に困難を抱える方を採用することは大変なところもありました」と、RPA推進事業部次長の西岡幸智さん。
今後は、週10時間以上20時間未満勤務の障害のある方、障害者手帳を返却した方、障害者手帳を何らかの理由で取得していない就職予定大学生などの採用を積極的に行っていきたいそうです。
RPA事業の立ち上げから3年。新しい職域への挑戦はこの先も続きます。福田社長は言います。
「親会社の新規RPA化は、あと数年で終わります。数年後には、技術力をあげて、RPAを外販化していきたい。変化は、逆風ではなく常識を変える好機。RPAという新しい領域への挑戦により障害者雇用のあり方にも新しい道が見えてきます。ソーシャルファーム事業を通じて、特例子会社としての新たなチャレンジは今後も続けていきます」
わからないことを教えてもらえる環境がありがたい
現在、1日7時間、週4日、プログラマーとして働いている草刈大暉さん。就労移行支援事業所を利用し、ITスキルを習得していたところ、同社より働いてみないかとの誘いがあり、2週間の研修期間を経て2021年7月に入社しました。
「初めての就職で、社会人としての経験がなかったため、不安なこともたくさんありました。就労移行支援事業所では、業務で使用しているRPAソフトとは異なるソフトを学んでいたので、勝手が違い戸惑いもありましたが、わからないことはその場で素直に聞くことで、少しずつ一人でできることが増え、仕事のやりがいを感じるようになりました。今後も先輩社員にわからないことは教えを乞いたいと思います」
今後は正社員としてフルタイムで働くのが目標だと話してくれた草刈さん。仕事に就く前は、社会にどう溶け込めばいいのかが不安だったそうです。「日々、前向きに進めていると実感しています。皆さんが優しくて、職場の環境に恵まれていると感謝しています」
業務内容
RPAプログラム開発
・定型業務を自動化するRPAプログラムを開発
・就労移行支援事業所と連携し、障害特性を活かしたRPAプログラマーを育成
(令和3年12月取材)