事例紹介

事業者情報

株式会社大塚応援カンパニー

所在地:東京都豊島区北大塚2-4-4 バロンハイツ702
業種:飲食店のコンサルティング、スポーツインストラクター派遣、健康運動スタジオ、配送業務サポート、リサイクルショップ、子ども食堂、社会貢献事業等
従業員数:5人
https://otsuka-ouen.com/

地元大塚を元気いっぱいに! いきいき街づくりの応援団

2020年の11月、豊島区大塚の商店街をはじめ、店舗をもつ会社のコンサルティングとその周辺業務を手掛ける株式会社大塚応援カンパニーが設立されました。契約している飲食店のお手伝い、POP作りのデザイン、会社書類の作成、簡単なお使いなど、さまざまなお手伝いに応えています。年末年始をはじめとする時節の催事に必要な人出の需要にも率先して対応し、地元密着型の地元応援企業として、地元商店街との信頼を築いています。同社のコンサルティング支援の幅は拡がり、地域への慈善事業として子ども食堂にも取り組んでいます。

 

取材は、コンサルティング支援先の一つであるシュートボクシング協会で行いました。

 

吉田裕子(よしだひろこ)社長は、もともとはキックボクシングジムの会長でしたが、長引くコロナ禍での自粛期間のなか、非常に厳しい時代を迎え、自身が就労に困難を抱える身となりました。そこでボクシング仲間で、現在同社顧問の伊藤一輝(いとうかずき)さんに相談したところ、認証ソーシャルファーム制度を知り、一念発起。さまざまな形で就労に困難を抱える方々と助け合いながら、共に働く場をつくろうと決意しました。

 

今後、認証ソーシャルファームとしての認知度を高め、就労に困難を抱える方を率先して受け入れるとともに、やがてはそうした方々が同社を退社した後、別の会社でも活躍できるような流れをつくることが目標です。

就労に困難を抱える方の気持ちに10代から寄り添う

中学生からボクシングに打ち込んでいた同社の伊藤一輝さんに転機が訪れたのは、大学在学中の19歳の時のことでした。家族の一人が統合失調症となりました。手助けをするために時間の融通が利く自営業の道を選んだことから、大学卒業後、柔整専門学校へ入学。23歳で独立起業し接骨院の経営を始めました。

 

「病気や事故、家庭環境、過去の過ちなど、いろいろな要因で働くことが難しい方はいっぱいいます。私の場合、就労に困難を抱えた家族がいたことで、比較的早い時期にその現状に気づくことができました」と伊藤さん。

 

「精神的、身体的な障害も、個性だと思います。一般社会で十分に力を発揮できるチャンスがあれば、どんどん社会に出てほしいと願っています。当社がその起点となって、就労に困難を抱える方が気兼ねすることなく働き、活躍できる社会をつくっていきたいです」とのこと。

 

働くという意志さえあれば誰もが働ける社会を目指し、同社は知り合いや取引先等の紹介などを通じてさまざまな業態の事業にチャレンジし、就労に困難を抱える方が働ける場をつくっています。その結果、同社の新たなサービスや事業へと繋がっています。また、働きやすい職場づくりにも力を入れています。例えば、シングルマザーの方の「幼稚園に子どもを預け、迎えに行くまでの3時間だけでも働きたい」といったニーズにも、フレックスタイムの導入などにより同社は応えています。

就労に困難を抱える方への理解が深い伊藤一輝さん

業態を広げることで ますます多くの雇用を確保

「会社を経営するにあたり、業態を限定する必要はまったくないと思っています。時代が変われば世の中で必要とされる仕事も変わってくるはずです。移り行く時代に合わせ、事業を成り立たせるには、かなり柔軟な姿勢で臨まなければなりません。特に我々サービス業にとっては、その柔軟性がカギになると思っています」と伊藤さん。

 

ホームページを2022年2月にオープン。これを機に、ますます仕事の幅を拡げていく予定です。

 

「ホームページを起ち上げるにあたって、いろいろと構想も生まれます。例えば商店だけでなく、アスリートやタレントをクライアントとし、彼らのチケット販売、Tシャツ他グッズの販売、ブログ作成の補助といった代行事業なども考えられます。すべてをトータルで引き受けマネジメントすることで、それぞれの案件に必要な人員を生み出し、雇用に繋げます。1箇所に留まらない、常に時代の流れを意識した経営を実践していきます」と将来に向け、伊藤さんの同社への期待は高まります。

盛り盛りのモチベーションで会社を切り盛りする吉田裕子社長

 

社員いずれも、現役ボクサー顔負けの熱気で会社の将来を支えます

元チャンピオンの経験を活かし トレーナーとして第二の人生

坂本大輔(さかもとだいすけ)さんは、ボクシング元日本ウエルター級チャンピオンのトップアスリートです。引退後、いろいろな道を探る中、ボクシング界でなじみのあった伊藤さんに誘われ、2021年6月に同社に入社しました。派遣インストラクターとしてシーザージム浅草をはじめ、系列のジムでトレーナーとして活躍中です。

 

「高校2年から38歳までアマ、プロを通じ20年以上の現役生活でした。第二の人生をどう切り開くか、迷っていた時期に運良く伊藤さんから話があり、渡りに船でした。現在、社員に採用され、トレーナーとしてボクシングジムで働いています。これまでの経験を活かしパンチングミット、キックミット、サンドバッグを使って会員の方のパンチ、キックを受ける日々です。私は人と会って何かをする、同じ目標を一緒に目指すといったことが大好きです。思っていた以上に、トレーナーという仕事が楽しく、興味深いと実感しています」とのこと。

 

とはいえ、教える側になって気づいたこともあります。

「ジムに通おうとしている方の多くは、昨今の自粛生活からひととき解放されたいという思いもあって、ついつい張り切りすぎてしまう傾向があります。トレーナーとしてやはりケガが心配ですので、気負いすぎの方には、少し抑えるような指導をしています」とご自身なりの工夫をしています。

 

アスリートとしての経験を買われて入社した坂本さんですが、ほかにも活躍の場を拡げています。

「飲食店を中心とした契約企業様のお手伝いのほかに、ワード、エクセルなどの事務系ソフトを使った書類作成や、グラフィック系ソフトを使ったPOPやチラシなどの製作にも携わっています。こうしたIT系事務作業にも慣れていくことで、ホームページを活用した情報発信力の強化に繋げられればと願っています。目標はズバリ!日本一の超便利屋です」と目標意識の高さが伺えました。

 

(令和4年1月取材)

ジム会員の気持ちに寄り添った、温かい指導が人気の坂本大輔さん