事例紹介

有限会社まるみは、現社長の三鴨岐子(みかもみちこ)さんがお父様から引き継がれて16年。25年前の創業時は名刺製作専門企業でした。当初、経営は順調だったものの、2008年のリーマンショックで様相が一変。そうした中、仕入先の紹介で参加した勉強会が転機となりました。先輩経営者たちと情報交換を重ね、不明なことは臆せずに質問したところ、先輩たちから会社経営の本質を学べるようになりました。この勉強会は、今も続いています。

現在、同社は名刺だけでなく、社用封筒、社員証や年賀状、オリジナルの挨拶状、会社案内をはじめオフィス周りのさまざまな備品類にまで対応しています。とりわけオリジナリティが発揮されるのが画像・イラストをあしらったトランプです。さらにWeb事業へも参入し、業務の幅を広げています。

業務をこなしていく中で、社長が心がけていることがあります。ひとつは、社員とのコミュニケーション。就労支援を通じて入社する社員の中には、人との会話が苦手な方も多く、社内で情報を共有するために、頻繁に声をかけるよう心がけています。

もうひとつは、雑談を積極的に行うこと。常に時代を見つめ、顧客が求める物やサービスを提供することが大切です。何気ない会話の中から、その手がかりとなるヒントを得られ、新しい事業につながる場合もあります。時には、社員も気づいていない自身の潜在能力が引き出されることもあるほどです。ハンディのある人も、そうでない人もお互いを刺激し合い、新たな業態への着想につなげています。

有限会社まるみの名刺・オリジナルトランプ担当の浜田さん。以前は、同様の事業を展開する別会社に在籍していました。入社当初は、別にアルバイトをしながら、週2日の出社。その後、完全移籍し、現在は週４日という就業体制です。

オリジナルトランプの製作で一番問われるのが、顧客が持ち込む画像を “映える”ように、いかに加工していくかという点です。居酒屋で会食しているやや暗めの画像ならば、そこに茶系の色を丁寧に加えていきムードある雰囲気を作り出します。こうした加工センスや技術、勘どころは、なかなか人に伝えるのが難しく、後輩たちへの継承に試行錯誤しています。

顧客から依頼される画像の多くは、家族の歩みを撮りためたファミリーヒストリー。家族の成長ぶりが映り込んだトランプとあって、顧客の思い入れが強く、きめ細かな対応を心がけています。