事例紹介
事業者情報
サンコー薬品株式会社
所在地:東京都大田区南六郷2-28-4
業種:医薬品販売業、高度管理医療機器等販売業、災害用品の販売(簡易トイレ他)など
従業員数:18名
所在地:東京都大田区南六郷2-28-4
業種:医薬品販売業、高度管理医療機器等販売業、災害用品の販売(簡易トイレ他)など
従業員数:18名
ソーシャルファームのスタッフの力を借りて、業務構造を新しい形に
サンコー薬品株式会社は、災害時に自治体が救護所を開設するための医療資機材や医薬品の提案・導入、感染症対策用品、防災・備蓄用品などを扱う卸販売企業です。創業から60年、現在は約100の自治体への導入実績とノウハウを基に現場の要望に合わせた提案も行っています。そんな同社は社会インフラを支える事業を安定して継続するため、業務の進め方と人材配置を見直し、ソーシャルファームとして多様な人が関われる体制づくりを進めています。今回は代表取締役社長の米川晴美さんに、背景を詳しくお伺いしました。
「災害などは突然起こるものだからこそ、“備え”をサポートする私たちの仕事は止めることはできません。当社の営業は受注だけでなく、お客様のご要望に合わせてセミオーダーのような形で細かい調整を行いながら商品を揃え、数量確認、書類のやり取りまで含めて幅広く担当していました。私はサンコー薬品には10年前に営業として入社したのですが、業務のすべてを営業が抱える昔からつづくやり方に限界を感じるように。工程を分けて支え合える形にするとミスが減り、納期にも余裕が生まれる──社会を支える仕事だからこそ、働く側にも無理が出ない仕組みを会社として整えたいと思ったんです」。
「災害などは突然起こるものだからこそ、“備え”をサポートする私たちの仕事は止めることはできません。当社の営業は受注だけでなく、お客様のご要望に合わせてセミオーダーのような形で細かい調整を行いながら商品を揃え、数量確認、書類のやり取りまで含めて幅広く担当していました。私はサンコー薬品には10年前に営業として入社したのですが、業務のすべてを営業が抱える昔からつづくやり方に限界を感じるように。工程を分けて支え合える形にするとミスが減り、納期にも余裕が生まれる──社会を支える仕事だからこそ、働く側にも無理が出ない仕組みを会社として整えたいと思ったんです」。
様々な困難があっても“自分らしく働ける”世の中を目指して
サンコー薬品がソーシャルファームをスタートさせた背景には、米川さんの人生を取り巻く環境が大きく関係していました。「私は以前、金融系の企業に勤務していたのですが、子どもの反抗期や体調の問題が重なり立ち止まろうとした時期がありました。余裕がなくなると選択肢が見えなくなる性格だとわかっていたため、会社を辞めて母として人生を見つめ直そうと思ったんです。その中でお取り引き先だったサンコー薬品に退職の挨拶に来たところ、今の会長が『介護は先が見えないけど、子育ては先が見える。働く時間帯を変えることで問題が解決できるなら、うちでその働き方をしてみないか』と言ってくださって。働くことを諦めない道をつくってくれたんです。さらに息子と同い年の親戚の双子が重い病気を患っているのですが、社会と関われる場が限られる現実に悩みを感じていました。また、息子が小学校に入学した際に学習障がいがあることがわかり、特別支援教室で障がいを持つ方々と触れ合う機会が増えたことも、ボーダーをなくしたいという思いを強めるきっかけとなりましたね。そのような中で東京都の方にソーシャルファームの説明を聞いたとき、『支援する側・される側ではなく仕事として関わる』という考え方に意義を感じ、今の立場でできることとして形にすることにしたのです」。
業務を簡素化することで複雑な作業を“誰でも”対応できる仕事に
サンコー薬品のソーシャルファームではシングルマザーやメンタルヘルスに課題のある方、パワハラ被害から復帰した方など多様な従業員が在籍。これまで営業スタッフが受け持っていた業務の一部を担当することで、営業担当者が本来の仕事に集中できる環境を構築したそうです。「重視しているのは、一人ひとりの適性に合った仕事をお任せすること。具体的な業務内容としては商品が納品された際の確認作業、発送物の仕分け作業、納品書や送り状の管理、データ入力など。たとえば官公庁のマスク配送では各部署から異なる数量の注文が入り、それを正確に仕分けする必要があります。一見ルーティンワークのようですが、実際には毎回異なる内容で臨機応変な対応が求められる仕事です。だからこそ可能な限り業務を簡素化し、複雑さのない作業にシンプル化しました。さらにこれまでは扱っていなかった商材の梱包作業といった比較的安定したルーティン業務も用意。スタッフが段階的にスキルを習得できるように工夫しました。業務設計においては、『1.5人で1人前』という考え方を採用していて、誰かが休んでも他のメンバーがカバーできる体制を整えています。その他にもその日に絶対終わらせなければならない仕事の組み方を避け、従業員が無理なく働ける環境づくりを徹底。体調が悪いときは遠慮なく休み、仕事は引き継ぎを行うことで、チーム全体で支え合う文化が根づいているんですよ」。
見えない壁と向き合いながら、チームで支える仕組みを育てる
当初、米川さんは受け入れのハードルは低いと感じていましたが、ソーシャルファームを始めてみるとそれが社員全員の共通認識ではなかったことが判明したそう。「最も大きな問題は『見えない壁』の存在でした。ソーシャルファームで雇い入れたスタッフに対して、無意識のうちに特別扱いをしてしまうというのでしょうか…。最初の6ヵ月は就労支援機関の支援員の方とダブルでケアができますが期間が終わると会社だけでフォローしなければならず、プロではないことの難しさを感じるシーンも少なくありませんでした。そこで『日々記録』という体調チェックや業務報告を共有する仕組みを導入。周囲の人間がちょっとした変化に気づきやすくなりコミュニケーションが取りやすくなっただけでなく、私自身も月末の面談時に具体的なフォローができるようになりました。そのほかに大切にしているのは、『5分でもいいから、しっかり向き合って話を聞く』こと。顔色や雰囲気から状態を読み取って、必要に応じて1時間以上の個別面談を行うこともあります。その結果見えない壁が徐々になくなり、以前は食事会や二次会に参加することを遠慮していたソーシャルファームのスタッフたちが、60周年記念イベントやボウリング大会などの社内イベントにも積極的に参加してくれるように!チームの一員としての一体感が生まれました」。
多様な背景を持つ人材が、互いに支え合い、切磋琢磨しながら成長する職場へ
サンコー薬品がソーシャルファーム事業をスタートして1年。現在活躍中のスタッフさんについてお話をお伺いしました。
「うちのソーシャルファームでは、いろんなバックグラウンドを持った人たちが働いてくれています。先ず、飲食店で店長を務めていた20代の男性です。前職を辞めてからブランクを経てうちに来たのですが、メキメキと成長して今では主力として活躍してくれています。それから、前職でハラスメントのために退職した20代の男性もいます。最初はコミュニケーションが苦手で、納得しないとなかなか前に進めなかったのですが、同世代の仲間が入ってきてからはお互いに刺激し合って成長してくれています。ときには意見が合わなくてぶつかることもありますが、それも含めていい関係…なのかな(笑)。また一番長く在籍しているのは50代の女性で、若い子たちの“お母さん”的な存在。仕事以外のこともサポートしてくれて、職場全体がすごくいい雰囲気になっています。シングルマザーのスタッフは体調面で課題を抱えていて、今は体調に合わせて無理のない働き方をしてもらっているんですよ。若い子同士が刺激し合い、ベテランが優しく見守り、それぞれのペースで働ける。違う強みや個性を活かして、お互いに補い合いながらすごくいい相乗効果が生まれているのではないでしょうか」。
「うちのソーシャルファームでは、いろんなバックグラウンドを持った人たちが働いてくれています。先ず、飲食店で店長を務めていた20代の男性です。前職を辞めてからブランクを経てうちに来たのですが、メキメキと成長して今では主力として活躍してくれています。それから、前職でハラスメントのために退職した20代の男性もいます。最初はコミュニケーションが苦手で、納得しないとなかなか前に進めなかったのですが、同世代の仲間が入ってきてからはお互いに刺激し合って成長してくれています。ときには意見が合わなくてぶつかることもありますが、それも含めていい関係…なのかな(笑)。また一番長く在籍しているのは50代の女性で、若い子たちの“お母さん”的な存在。仕事以外のこともサポートしてくれて、職場全体がすごくいい雰囲気になっています。シングルマザーのスタッフは体調面で課題を抱えていて、今は体調に合わせて無理のない働き方をしてもらっているんですよ。若い子同士が刺激し合い、ベテランが優しく見守り、それぞれのペースで働ける。違う強みや個性を活かして、お互いに補い合いながらすごくいい相乗効果が生まれているのではないでしょうか」。
“次につながる経験の場”として、寛容な社会への入り口を広げていく
サンコー薬品が目指しているのは障がいがある方でも自立し、社会人として納税の義務を果たし、地域の人とつながりながら生活を築ける社会。評価される仕事や機会に恵まれ、企業の利益にも貢献できる関係を広げることを目標に、ソーシャルファームを“次につながる経験の場”と位置づけているそうです。
「『納税者を増やす』という言い方は、少し強く感じてしまうかもしれません。しかし、うちはおむつの事業をさせていただいているのでよくわかるのですが、障がい者や高齢者のおむつの配給は増える一方です。このような若い人たちが少なくなっていく中で、働いて給与を得て社会の一員として役割を持つことはとても大切なことだと思っています。もちろんずっといてほしいのですが、もしうちの会社を辞めたとしても次の企業で頑張れる人材に育てたい。自分の中で見えない壁をつくらずに助けが必要なときは自ら伝える努力も含めて、仕事の中で身につけてほしいと思っています。雇用の形も働く上での目標も、体調や生活のリズムに合わせて再設定していい。その先に、地域とつながりながら暮らせる未来があると信じています。会社としては『いつでも、誰でも、どこででも』社会とつながれる入り口を増やし、寛容な社会を目指して取り組みを広げていきたいですね」。
(令和8年1月取材)
「『納税者を増やす』という言い方は、少し強く感じてしまうかもしれません。しかし、うちはおむつの事業をさせていただいているのでよくわかるのですが、障がい者や高齢者のおむつの配給は増える一方です。このような若い人たちが少なくなっていく中で、働いて給与を得て社会の一員として役割を持つことはとても大切なことだと思っています。もちろんずっといてほしいのですが、もしうちの会社を辞めたとしても次の企業で頑張れる人材に育てたい。自分の中で見えない壁をつくらずに助けが必要なときは自ら伝える努力も含めて、仕事の中で身につけてほしいと思っています。雇用の形も働く上での目標も、体調や生活のリズムに合わせて再設定していい。その先に、地域とつながりながら暮らせる未来があると信じています。会社としては『いつでも、誰でも、どこででも』社会とつながれる入り口を増やし、寛容な社会を目指して取り組みを広げていきたいですね」。
(令和8年1月取材)
