事例紹介
事業者情報
株式会社フランシール
所在地:東京都豊島区目白4-19-27
業種:翻訳・通訳業務、通訳の長期派遣など
従業員数:20名
所在地:東京都豊島区目白4-19-27
業種:翻訳・通訳業務、通訳の長期派遣など
従業員数:20名
国籍も背景も異なる仲間が集まり、それぞれの強みを活かして働ける場所
閑静な住宅街に、街並みに自然と溶け込む一軒家があります。外からはごく普通の住宅に見えますが、実はここがソーシャルファーム 「株式会社フランシール」の拠点です。翻訳業務などを行う活躍中のスタッフは、日本をはじめロシア、ブラジル、フランス、ベトナムなどの出身で国際色豊か。性別・年齢層なども様々ということで、多様性あふれる環境が生み出す雰囲気がソーシャルファームとしての働きやすさにも一役買っているそうです。今回はソーシャルファームを立ち上げたきっかけや、そこに込めた想いについて代表取締役の伊藤尚江さんにお話を伺いました。
「フランシールには現在5名の就労に困難を抱える方が在籍して、皆さんには一人ひとりの適性に合った仕事を任せています。一番長い方は2年以上働いてくれているのですが、バックオフィスのサポート業務に加え、絵を描くのが得意な方なのでホームページなどに使用するイラストを描いてもらうことも。ほかには翻訳業務のサポートからスタートして、今では通訳の派遣に関する営業業務を担っている方もいます。人はできることややれること、さまざまな可能性を持っているからこそ、働いていて『役に立っている』と実感できる環境をつくりたいと考えているんですよ」と伊藤さん。その言葉には、スタッフ一人ひとりへの想いが込められていました。
「フランシールには現在5名の就労に困難を抱える方が在籍して、皆さんには一人ひとりの適性に合った仕事を任せています。一番長い方は2年以上働いてくれているのですが、バックオフィスのサポート業務に加え、絵を描くのが得意な方なのでホームページなどに使用するイラストを描いてもらうことも。ほかには翻訳業務のサポートからスタートして、今では通訳の派遣に関する営業業務を担っている方もいます。人はできることややれること、さまざまな可能性を持っているからこそ、働いていて『役に立っている』と実感できる環境をつくりたいと考えているんですよ」と伊藤さん。その言葉には、スタッフ一人ひとりへの想いが込められていました。
利益を社会に還元し、誰も取り残さない働き方を──設立の原点から生まれた挑戦
通訳や翻訳を行う会社として2011年に設立された同社が、ソーシャルファームの事業所として新しい第一歩を踏み出したのは2024年のこと。新しいチャレンジの背景について、伊藤さんに振り返っていただきました。
「会社を立ち上げた直後に起こった東日本大震災──この出来事は私にとって“自分が働く意味”を考える大きなきっかけとなりました。その中で生まれたのが『活動を通じて被災地に利益を還元したい。そして、社会に役立つ仕事をしていきたい』という指針です。
さらに2011年は娘が小学校に入学した年であると同時に、彼女が知的障がい者であることがわかった年でもあります。これをきっかけに特別支援教室などで障がいを持つ方と触れ合う機会が増え、障がい者の有無によるボーダーをなくしたいと思うようになっていきました。
このような背景もあり、フランシールでは以前から外国籍、LGBTQ、発達障がい、うつ病などさまざまなスタッフが共に働いていました。実はソーシャルファームの存在を知ったとき『私たちがやっていることみたい』と思ったものの、申請に関する事務処理に不安があり最初は消極的でした。しかし過去にスタッフに障がいがあるとわかっても相談先がなく困った経験から、フォローがあれば雇用しやすくなるのではないかと思い、前向きに検討し始めたのです」。
「会社を立ち上げた直後に起こった東日本大震災──この出来事は私にとって“自分が働く意味”を考える大きなきっかけとなりました。その中で生まれたのが『活動を通じて被災地に利益を還元したい。そして、社会に役立つ仕事をしていきたい』という指針です。
さらに2011年は娘が小学校に入学した年であると同時に、彼女が知的障がい者であることがわかった年でもあります。これをきっかけに特別支援教室などで障がいを持つ方と触れ合う機会が増え、障がい者の有無によるボーダーをなくしたいと思うようになっていきました。
このような背景もあり、フランシールでは以前から外国籍、LGBTQ、発達障がい、うつ病などさまざまなスタッフが共に働いていました。実はソーシャルファームの存在を知ったとき『私たちがやっていることみたい』と思ったものの、申請に関する事務処理に不安があり最初は消極的でした。しかし過去にスタッフに障がいがあるとわかっても相談先がなく困った経験から、フォローがあれば雇用しやすくなるのではないかと思い、前向きに検討し始めたのです」。
“誰でもいい”ではなく、“共に働きたい人”と出会うために考えた『STEP0』
2024年にソーシャルファームとしての事業をスタートした直後、伊藤さんと受け入れ側のスタッフは、ある壁にぶつかってしまいます。
「フランシールは2023年2月に予備認証の事業所となり、就労に困難を抱える方の新たな雇用などに取り組んできました。それまでも障がいのある方と一緒に働いていたため、受け入れに関するハードルは低いと私は感じていました。しかし、これが全員の共通認識ではなかったことが後に判明します。やがて最初は賛同してくれたスタッフが退職してしまうケースもでてきてしまいました。そんな中、予備認証を進めるために創設した『ソーシャルファーム委員会』は一度解散します。その後、運営体制を見直すために主にソーシャルファームの課題を取り扱う『研修委員会』を設置。各チームの代表が、それぞれの視点を持ち寄って話し合いを進めましたが、やがてソーシャルファームの課題は就労に困難を抱える方にだけ当てはまるのではなく社員全員に当てはまることが分かってきました。また、その中で見えてきたのが『STEP0(ゼロ)』の存在。お願いする仕事はSTEP1~5までレベル分けしていましたが、それとは別にSTEP0として“無断欠勤しない”、“挨拶できる”などの『最低限の就労条件』を設定する必要性が見えてきたのです。誰でも受け入れるのではなく、STEP0をクリアすることをフランシールが一緒に働きたいと思える方の条件として採用することで、受け入れ側の心理的なハードルを下げる工夫をしました」と伊藤さんは当時を振り返ってくれました。
「フランシールは2023年2月に予備認証の事業所となり、就労に困難を抱える方の新たな雇用などに取り組んできました。それまでも障がいのある方と一緒に働いていたため、受け入れに関するハードルは低いと私は感じていました。しかし、これが全員の共通認識ではなかったことが後に判明します。やがて最初は賛同してくれたスタッフが退職してしまうケースもでてきてしまいました。そんな中、予備認証を進めるために創設した『ソーシャルファーム委員会』は一度解散します。その後、運営体制を見直すために主にソーシャルファームの課題を取り扱う『研修委員会』を設置。各チームの代表が、それぞれの視点を持ち寄って話し合いを進めましたが、やがてソーシャルファームの課題は就労に困難を抱える方にだけ当てはまるのではなく社員全員に当てはまることが分かってきました。また、その中で見えてきたのが『STEP0(ゼロ)』の存在。お願いする仕事はSTEP1~5までレベル分けしていましたが、それとは別にSTEP0として“無断欠勤しない”、“挨拶できる”などの『最低限の就労条件』を設定する必要性が見えてきたのです。誰でも受け入れるのではなく、STEP0をクリアすることをフランシールが一緒に働きたいと思える方の条件として採用することで、受け入れ側の心理的なハードルを下げる工夫をしました」と伊藤さんは当時を振り返ってくれました。
得意の絵を仕事に活かしながら、働けるよろこびを実感しています
嶋田信英さんは、ブラジル出身の日系2世。フランシールで働き始めて2年、就労に困難を抱える方の中では一番長く勤務しています。絵を描くのが得意で、展覧会に出品した経験もあるそうです。
「私の仕事は、午前中は郵便物のチェックや部屋やキッチンの掃除、備品の補充など。午後はお客様から依頼されたパンフ類の印刷やPowerPointの調整、納品、ほかのスタッフのサポートを行っています。働いていてうれしいのは、得意な絵の仕事ができること。ホームページのスタッフインタビューのページで使われているイラストや、付箋(フランシールのノベルティグッズ)の絵は私が描いたものなんですよ。私は働けていなかった時期が長かったので、今はここに来て仕事をできていることによろこびを感じています。入った頃よりはたくさんの漢字を読めるようになりましたが、もっと読めたほうが日本語の仕事にかかわれると思うので頑張りたいですね」。
「私の仕事は、午前中は郵便物のチェックや部屋やキッチンの掃除、備品の補充など。午後はお客様から依頼されたパンフ類の印刷やPowerPointの調整、納品、ほかのスタッフのサポートを行っています。働いていてうれしいのは、得意な絵の仕事ができること。ホームページのスタッフインタビューのページで使われているイラストや、付箋(フランシールのノベルティグッズ)の絵は私が描いたものなんですよ。私は働けていなかった時期が長かったので、今はここに来て仕事をできていることによろこびを感じています。入った頃よりはたくさんの漢字を読めるようになりましたが、もっと読めたほうが日本語の仕事にかかわれると思うので頑張りたいですね」。
電話も苦手だった私が、今はお客様と交渉を。ここで新しいキャリアの形を見つけました
H.T.さんは、フランシールが行っている通訳派遣に関する営業を担当。お客様先へ訪問し、交渉などを行うこともあるそうですが、入社当時は電話の受け答えも苦手だったというから驚きです。
「働き始めた当初は清掃や翻訳のサポート業務がメインでしたが、今は通訳の派遣コーディネーターとして契約書の作成やお客様と通訳スタッフをつなげる仕事をしています。前職を退職してフランシールで働くまで4年10ヶ月ほどかかりましたが、以前、物流関係の会社でいろいろな方の間に立ってコーディネートしていた経験が役立っている気がします。現在は、建設や電気関連のお客様を4社ほど担当。それぞれ社風が異なるため臨機応変に対応するのは大変ですが、お客様から契約更新のご連絡をいただけると“ご期待に応えられているんだな”とホッとすると同時に、やりがいを感じます。営業という仕事は新しいチャレンジなので壁を感じることもありますが、いろいろな経験を積んでいきたいですね」。
「働き始めた当初は清掃や翻訳のサポート業務がメインでしたが、今は通訳の派遣コーディネーターとして契約書の作成やお客様と通訳スタッフをつなげる仕事をしています。前職を退職してフランシールで働くまで4年10ヶ月ほどかかりましたが、以前、物流関係の会社でいろいろな方の間に立ってコーディネートしていた経験が役立っている気がします。現在は、建設や電気関連のお客様を4社ほど担当。それぞれ社風が異なるため臨機応変に対応するのは大変ですが、お客様から契約更新のご連絡をいただけると“ご期待に応えられているんだな”とホッとすると同時に、やりがいを感じます。営業という仕事は新しいチャレンジなので壁を感じることもありますが、いろいろな経験を積んでいきたいですね」。
コツコツ進めることが好き──そんな自分の特性に合った仕事に取り組めています
K.T.さんがフランシールで働き始めたのは、2023年8月のこと。現在は通訳派遣関連に加え社内のバックオフィス業務を中心に担当しています。
「私は派遣スタッフの勤怠チェックやデータ入力、社内スタッフのスケジュール表作成、カレンダーの送付などを行っています。やりがいを感じるのは、データ入力を正確に終えられたとき。あと、1年間の活動概況や取り組み状況を記載した事業報告書をまとめ終わったときも、大きなやりがいを感じました。ソーシャルファームのいいところは、自分がどういう時にミスをしやすいかを事前に伝えることができて、それをベースに自分に任せる業務を考えてもらえるところです。前職は経理をしていてコツコツ進める作業が好きなので、フランシールでは自分に合った仕事ができていることを実感しています。上司に提出する業務報告書を通じて健康管理できるのも、ソーシャルファームならではの良さだと思いますね」。
「私は派遣スタッフの勤怠チェックやデータ入力、社内スタッフのスケジュール表作成、カレンダーの送付などを行っています。やりがいを感じるのは、データ入力を正確に終えられたとき。あと、1年間の活動概況や取り組み状況を記載した事業報告書をまとめ終わったときも、大きなやりがいを感じました。ソーシャルファームのいいところは、自分がどういう時にミスをしやすいかを事前に伝えることができて、それをベースに自分に任せる業務を考えてもらえるところです。前職は経理をしていてコツコツ進める作業が好きなので、フランシールでは自分に合った仕事ができていることを実感しています。上司に提出する業務報告書を通じて健康管理できるのも、ソーシャルファームならではの良さだと思いますね」。
初めての就労は不安だらけでしたが、多国籍の仲間に支えられながら成長しています
若者サポートステーションの紹介でフランシールに勤務することになったK.Y.さんは、さまざまな国の方が働いている同社ならではの働きやすさを感じているそうです。
「私が入社したのは2025年2月で、今は翻訳をする原稿の文字数カウントや翻訳をしやすくするための簡単な編集業務を担当しています。ここで働くまでソーシャルファームというものは知らなかった上に、就労自体が初めての経験なので最初はとても緊張していました。しかし、こちらで働いているのは個性的ながらも温かい方たちばかりで、とてもやさしくいろいろなことを教えてくださって。そもそも、“自分は本当に働いていけるのだろうか”と疑問に思っていた私にとって、とてもいい就労のきっかけとなりました。今はまだ先のことは考えづらい状態ではありますが、会社が設定しているSTEP UP表に書かれている業務を一つひとつクリアしながら、成長していきたいです」。
「私が入社したのは2025年2月で、今は翻訳をする原稿の文字数カウントや翻訳をしやすくするための簡単な編集業務を担当しています。ここで働くまでソーシャルファームというものは知らなかった上に、就労自体が初めての経験なので最初はとても緊張していました。しかし、こちらで働いているのは個性的ながらも温かい方たちばかりで、とてもやさしくいろいろなことを教えてくださって。そもそも、“自分は本当に働いていけるのだろうか”と疑問に思っていた私にとって、とてもいい就労のきっかけとなりました。今はまだ先のことは考えづらい状態ではありますが、会社が設定しているSTEP UP表に書かれている業務を一つひとつクリアしながら、成長していきたいです」。
“働きやすさ”は一人でつくれないからこそ、“誰もが心地よく働ける会社”を目指しています
より良い形で継続できるよう、さまざまな角度から運営方法を検討・実施しているという『研修委員会』のメンバーの皆さんにもお話を伺いました。
ニコルさん「この委員会はソーシャルファームで採用された方と社員、双方が働きやすい環境をつくるために立ち上げられたチームです」。
カミラさん「東京しごと財団の見学会に参加して、ほかの企業さんがどのように運営しているのかなどを勉強。参考になる部分はどのような形で導入するかを、みんなで検討したりしています」。
ニコルさん「具体的にはコミュニケーションツールとして業務報告書を毎日提出していただくようにしました。そうしたところ、ちょっとした変化にも気づきやすくなり、今後どのようにしていきたいかなどの話もしやすくなりましたね」。
斎藤さん「実際にソーシャルファームの方からは”働きやすくなった“という声をいただいています。でも、それだけではなく最終的にハンデがある方だけでなく、“みんなが働きやすい会社”を目指して活動しているんですよ」。
K.T.さん「ソーシャルファームとは直接関係のない勉強会なども積極的に企画しています。先日は『あだち若者サポートステーション』の方に講師として来ていただき、全員が参加する形で褒め方講座を開催。“とても役に立った”という声をたくさん頂戴したんですよ」。
斎藤さん「この前はチームづくりに関する勉強会も開催しましたね。どんなチームでも出会いがあり、倦怠期を経て団結力が増していくというのを知るための講座で、自分たちが今どのステップにいるのかを客観的に見るいい機会になりました」。
K.T.さん「こういった活動を通じて、ソーシャルファームのスタッフと社員さんが分け隔てなく意思疎通をとることが“当たり前”の会社にしていきたいと思っています」。
ニコルさん「この委員会はソーシャルファームで採用された方と社員、双方が働きやすい環境をつくるために立ち上げられたチームです」。
カミラさん「東京しごと財団の見学会に参加して、ほかの企業さんがどのように運営しているのかなどを勉強。参考になる部分はどのような形で導入するかを、みんなで検討したりしています」。
ニコルさん「具体的にはコミュニケーションツールとして業務報告書を毎日提出していただくようにしました。そうしたところ、ちょっとした変化にも気づきやすくなり、今後どのようにしていきたいかなどの話もしやすくなりましたね」。
斎藤さん「実際にソーシャルファームの方からは”働きやすくなった“という声をいただいています。でも、それだけではなく最終的にハンデがある方だけでなく、“みんなが働きやすい会社”を目指して活動しているんですよ」。
K.T.さん「ソーシャルファームとは直接関係のない勉強会なども積極的に企画しています。先日は『あだち若者サポートステーション』の方に講師として来ていただき、全員が参加する形で褒め方講座を開催。“とても役に立った”という声をたくさん頂戴したんですよ」。
斎藤さん「この前はチームづくりに関する勉強会も開催しましたね。どんなチームでも出会いがあり、倦怠期を経て団結力が増していくというのを知るための講座で、自分たちが今どのステップにいるのかを客観的に見るいい機会になりました」。
K.T.さん「こういった活動を通じて、ソーシャルファームのスタッフと社員さんが分け隔てなく意思疎通をとることが“当たり前”の会社にしていきたいと思っています」。
利益と福祉、その両立を追い求めて。ソーシャルファームの新しい価値を証明
ソーシャルファーム事業を展開することで社内の混乱を招くなど、想定外の出来事が起こった同社。その波乱を乗り越えた今、改めて考える“これからのプラン”について伊藤さんに伺いました。
「ソーシャルファームを立ち上げたことは社員に想像以上に大きなインパクトを与え、中には“福祉をやるなら、売り上げは重視しなくていい”と捉えた人もいました。しかしそれは違っていて、私は利益も大切にしながら、企業としてもソーシャルファームとしても成長していくことを目標としています。“福祉=儲けてはいけない”と考える方からは批判が起こるかもしれませんが、フランシールはソーシャルファームというスキームを活用して大きくなった会社として、社会的認知度を上げたいと考えています。なぜなら人手不足が叫ばれて久しい今の日本……特に中小企業にとって、就労に困難を抱える方の雇用は一つの方法だと考えているからです。子育てをしているお母さんも、外国人も、障がい者も在籍しているのが当たり前。どんな人に対しても偏見のない目で見て、何を活かすのかを考える“人間力”が問われる時代が近い将来やってくると思います。多様性を実現するのは簡単ではないけれど確実に強みになる──このことをソーシャルファームの運営を通じて証明したいですね」。
(令和7年9月取材)
「ソーシャルファームを立ち上げたことは社員に想像以上に大きなインパクトを与え、中には“福祉をやるなら、売り上げは重視しなくていい”と捉えた人もいました。しかしそれは違っていて、私は利益も大切にしながら、企業としてもソーシャルファームとしても成長していくことを目標としています。“福祉=儲けてはいけない”と考える方からは批判が起こるかもしれませんが、フランシールはソーシャルファームというスキームを活用して大きくなった会社として、社会的認知度を上げたいと考えています。なぜなら人手不足が叫ばれて久しい今の日本……特に中小企業にとって、就労に困難を抱える方の雇用は一つの方法だと考えているからです。子育てをしているお母さんも、外国人も、障がい者も在籍しているのが当たり前。どんな人に対しても偏見のない目で見て、何を活かすのかを考える“人間力”が問われる時代が近い将来やってくると思います。多様性を実現するのは簡単ではないけれど確実に強みになる──このことをソーシャルファームの運営を通じて証明したいですね」。
(令和7年9月取材)
