事例紹介
事業者情報
株式会社拓実建設
所在地:東京都板橋区四葉2-19-5 シャルマンシャトー101
業種:土木一式工事、とび・土工工事、石工事、鋼構造物工事、舗装工事、しゅんせつ工事、水道施設工事、解体工事など
従業員数:60名
https://takumi-web.jp/
建築現場の人手不足の解決と、就労に困難を抱える方の支援を両立!
東京を中心とした関東一円の現場で、内装解体、躯体、土木工事をメインとした事業を展開している株式会社拓実建設。2016年の会社設立の間もない時期から、代表取締役である柿島さんの経験と実績により、業績は右肩上がり。そのような中でソーシャルファームを設立したきっかけを、柿島さんにお伺いしました。「創業当時のメンバーは5人と少人数でしたが、取引先から“仕事ならいくらでもある”と言われていたため、すぐにでも人材を増員し、事業を拡大したいと考えていました。しかし、建設業界は“危ない・キツイ・朝が早い”という印象があるため、常に人手不足。中でも若手の採用は、かなり難易度が高い状態になっていました。そこで多少の反対意見はあったものの、犯罪や非行歴のために仕事に就くことが難しい人たちを雇用する『協力雇用主』にエントリー。5~6年前から就労に困難を抱える方の再出発を支援しつつ、人材を確保してきたのです。その活動を続ける中でソーシャルファームの制度を知り、2023年に東京都から認証を受けました」。
面接を何度も繰り返すことで人柄を把握。結果的に、取引先も就労に困難を抱える方の雇用に前向きに!
人手不足の解消という課題はあったものの、犯罪や非行歴のある人の採用を続ける理由はそれだけではありません。「昔と比べて今は人の気持ちに余裕がなく、1回失敗した人がリスタートしづらい世の中になっていると感じます。そして “生い立ち”という自分ではどうにもできない問題を抱えた結果、横道に逸れてしまった人も少なくありません。そういった方に再出発の場所を提供するのが、自分の役割なのかなと思います。もちろん雇用に際し、取引先の中に不安を感じた方がいらっしゃったことも事実です。私たちはあくまでも会社であり更生施設ではないので、新しい自分になるには本人の意思がとても重要になってきます。だからこそ、人柄がきちんと見えるまで面接を複数回行い、人柄を把握した上で採用しています」。柿島さんのきめ細やかな工夫によって、取引先の声にも変化があったそう。「職場での喧嘩などを心配する方もいらっしゃったので、就労に困難を抱える方を1つの現場に一度に入れるのではなく、少人数からスタートしました。すべての現場仕事が終了したあとに評価を取引先に伺ったところ、真面目な仕事ぶりに驚いてくださって、何回かの現場仕事を経て、なんと2社の取引先が“自分たちの会社でも採用してみる”と『協力雇用主』にエントリーしてくれたんですよ」と柿島さんは嬉しそうに教えてくれました。
入社後に一生モノの免許や資格を会社のバックアップのもとで取得しました
伊東さんが拓実建設に入社したのは、1年8ヶ月前のこと。現在は内装工事の現場で、主に搬出や詰め込み作業を行っているそうです。「面接では、社長も自分がどんな人柄かを見極めようとしていたと思いますが、自分も社長の人柄を知り、“この人のもとでなら働きたい”と思うことができました。拓実建設に入社して良かったことは、様々な面で尊敬できる先輩に出会えたことと、仕事ができる先輩がたくさんいること。そんな方達が色々教えてくれるので、自分も頑張らなきゃなと思います。入社後には、ユンボの免許と解体工事施工技士の資格を取得しました。社長は頑張る人をきちんと評価してくれるので、やりがいもしっかり感じられます。目標は…仕事ではなくプライベートではありますが、いつか先輩の岡本さんと韓国に遊びに行きたいですね!」。
社長は自分にとって頼れる存在!プライベートな悩みにも相談にのってもらいました
入社3年目の岡本さんは、未来の東京を創造する大型再開発の現場で、内装解体の仕事を行っています。「入社した時は全くの未経験だったので、右も左もわからない状態でした。でも、上司や先輩と後輩の仲が良い会社なので、自然と馴染むことができました。3年経って仕事にも慣れましたが、目標は社長の跡を継ぐことなので(笑)、目標の達成まではまだまだ時間がかかりそうです。自分にとって社長はかけがえのない存在なので、もし社長が変わることがあったら、自分も辞めてしまうんじゃないかと思うくらい尊敬しています。仕事だけでなく、プライベートの悩みも聞いてくれますし、結婚をする時に相談に乗ってもらえたことは一生忘れないと思います」。
地元にいたときよりも成長した、頑張っている自分の姿を親に見てもらいたいです
現在の現場で、左官工事やモルタルの補修などを担当している三村さんは、入社4年目。「以前は解体の仕事に従事していたので、全くの未経験というわけではありませんでしたが、地方出身で東京には知り合いがいない状態からのスタート。不安はありましたが、“せっかく社長に助けてもらったから頑張ろう!”と思ってここまできました。今の目標は、1~2年以内に職長クラスの仕事を任せてもらえるようになること。目標の実現のために、できることをさらに増やしていきたいです。地元にいる時よりも人として成長していると思うので、いつか親に仕事中の頑張っている姿を見てほしいですね。残業はあまりないので、プライベートも充実しています!祖父の影響で好きになった昆虫採集をするために都内の色々なスポットに足を運んでいます。先日、祖父に採取した昆虫を30匹ほど送ったのですが喜んでもらえているかな…。ちなみに来月、母親が東京に遊びに来るのも楽しみの一つ。色々な所に連れて行ってあげたいです」。
一人ひとりの挑戦や頑張りをサポートしながら、就労に困難を抱える方たちの未来を支え続けたい
これまで多くの就労に困難を抱える方を雇用している拓実建設ですが、入社後の定着率も良好です。多くの人が腰を据えて長く活躍してくれている秘訣を柿島さんにお伺いしました。「借り上げ社宅や寮を用意するなど、まずは入社後の生活基盤をなるべく早く整えるためのサポートを行っています。あとは頑張っている社員の給料はすぐに上げるようにしていますね。社員にはそのために仕事を頑張ってもらうと言っているし、私も営業を頑張って仕事を取ってくると約束しているんですよ」。最後に、今後の目標を柿島さんに教えていただきました。「以前も私たちのもとで働きながら専門学校に通った社員がいたのですが、これからも一人ひとりの挑戦や頑張りを支えられる存在でいたいですね。色々な社員がいるので簡単ではありませんが、一緒に飲みに行ったりしながら交流を深めていきたいです」。時には社員に寄り添い、時には背中を押しながら、柿島さんはこれからも就労に困難を抱える方たちの未来を支え続けます。
(令和5年7月取材)