事例紹介

事業者情報

スギコー株式会社(リコルス浜田山)

所在地:東京都杉並区浜田山3-37-15
業種:フィットネス施設、リハビリ施設、デイサービスの運営等
従業員数:26人(内、常勤6人、非常勤20人)
https://www.recolth.co.jp/

地域の健康を守る多彩なプログラムを提供

駅前の商店街を抜けて約5分。大通りに面したレンタルショップに併設するリコルス浜田山は「健康のための複合施設」です。
令和3年9月末にオープンし、トレーニングジムと、ピラティスやヨガ、トランポリンにダンスなど日替わりプログラムを楽しめるフィットネスを中心に、利用者個人の「痛みへの悩み」を解決するため理学療法士がフォローするパーソナルセラピー、脳梗塞リハビリや歯のセルフホワイトニングといったサービスまで幅広く提供しています。
施設を運営するのは、福祉事業を手掛けるスギコー株式会社です。代表取締役社長の召田(めしだ)浩子さんは「介護・医療・福祉の活動から、地域社会への貢献を考えてこの事業所をオープンしました」と言います。同事業所のテーマは「recovery&healthへのチャレンジ」。長年、福祉事業に取り組んできた地元企業として、デイサービスの利用者も受け入れています。

日差しもたっぷり入り、気分がよく運動ができそうです。スタッフの明るい笑顔にも元気をもらえます

就労に困難を抱える方も当たり前に働ける場を

スギコー株式会社の母体は、ハイヤー事業を行う杉並交通株式会社。同社が介護タクシーに参入したのをきっかけに、福祉・介護事業を専門とするスギコーが誕生しました。
「東京都がソーシャルファームへの支援を始めると知り、ぜひチャレンジしたいとリコルス浜田山の設立を決めました。生きづらさや働きづらさの要因は、障害の有無だけによるものではありません。今は障害のあるスタッフを採用していますが、いかなる理由でも『就労に困難を抱える方』が、当たり前に働ける場を育てたいのです」
召田さんは「ともに働く」ためには、「個々の働きづらさを理解し、それぞれにあった体制を整えることが必要」と訴えます。
人材募集でも、ソーシャルファームであることを第一に掲げました。その上で、ソーシャルファームの理念に共感していただける方を採用しています。

スギコー株式会社 代表取締役社長 召田浩子さん

接客に注力できるよう、スタッフで業務を切り分ける

同事業所に勤務するスタッフのうち、就労に困難を抱える方以外の多くのスタッフが介護や福祉の資格を保有しています。
「介護福祉士、理学療法士、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士などが在籍しています。オープン当初から十分なサービスを提供するため、結果的に有資格者が集まった結果なのですが、専門職が多いことは就労に困難を抱えるスタッフのサポート面でもプラスに働きました」
リコルス浜田山は、お客様が利用する施設。当然、スタッフは来店されたお客様への対応に集中します。すると就労に困難を抱えるスタッフへのフォローがおざなりになる可能性が出てしまいます。それでは誰もが働きやすい職場とはいえません。そこで「スタッフを支援するスタッフ」を必ずシフトに配置します。
「支援スタッフは、社会福祉士の資格を持つ者が担当する場合が多いです。ここでは、スタッフ同士が支え合うのも大事な業務。専門職としてのご自身の技能を発揮したいというだけの方は、ご遠慮いただいています」
スタジオプログラムの講師として契約する専門のインストラクターであっても、事業所の理念に賛同した方にのみに業務を依頼しているのです。

リコルス浜田山は、広い駐車場もあり、利用しやすい環境です

リコルス浜田山スタッフのみなさん

人と社会を変える力を持つフィットネス施設に

召田社長は次のように語ります。
「就労に困難を抱える方は、得てして頑張り屋さん。『就労困難』という言葉に抵抗を感じるかもしれません。当事業所でも打ち出し方を工夫し『就労が困難という概念を感じさせないことも、ソーシャルファームの特長の一つ』と周知させていきたいですね」
さらにスタッフの資格取得のバックアップもしていきます。
「全国どこでも通用する資格を取得すれば自立が進みます。当事業所から活躍の場を広げ羽ばたいていく人が増えることが、社会を変える原動力になると思うのです」親子3代で利用できるのも同施設の特長。そしてあらゆる世代の利用者に、『ここで働くのも楽しそうだ』と思われるような、魅力ある施設にしていくのも目標です。
「シングルマザー、シングルファーザーやシェルター(DV被害者の一時保護施設)利用者の採用など男女問わず、ともに働く仲間を増やしたい」と考えているそうです。

フィットネス機器の「ボディースパイダー」。安心・安全のために細やかな清掃は欠かせません

ラベル作成などの細かな事務作業はバックヤードで行います

障害特性に理解があり個性を尊重してもらえる環境

内藤盛治さんは、疲れやすいという特性と戦っています。
「利用していたデイケア先で、スタッフ募集のチラシを見つけ応募しました。コロナ禍でもお客様に安心して施設を利用していただけるよう、フィットネス器具の消毒などを担当しています。慣れない仕事をすると特に疲れが出ますが、無理をせず、休憩をもらいながら働けるので、最近はコツがつかめてきて、業務効率もあがりました。経験を積むと上手になるものですね。明るい人が多く、通うのが楽しい職場です」

「器具のモニター清掃が苦手でしたが、ちょっとした工夫できれいになることがわかり楽しくなりました」と内藤さん

長田祐介さんはコミュニケーションが取りやすく「働きやすい」と言います。
「体を動かしたり、鍛えたりするのが好きなため、事業内容に興味を持ちました。障害のある人向けに、会社説明会が開かれることはあまりないのですが、問い合わせると召田社長が『説明会をやるから参加してね』と誘ってくれて、『素敵な会社に違いない』と直感したんです。主張することが苦手でしたが、業務以外でも『豆を挽いてコーヒーを淹れる』など興味のあることに『挑戦したい』と素直に言える環境です」

リコルス浜田山は「仕事を楽しむことを追求できる環境がある」と語る長田さん

専門職と最先端機器で心身の健康をサポート

リコルス浜田山は、専門職による細やかなケアも利用者から評判です。高齢者の利用が多いため、体力の低下した方でも無理なく取り組めるプログラムを用意しています。
「気軽に通えるデイサービスの場としてもご利用ください。またスタッフの中に看護師や保育士もいるので、多くのみなさんに安心してご利用いただけると思います。介護などの相談に乗れることもきっとあると思いますよ」
リハビリテーション実績や臨床現場から誕生し、科学的根拠に基づいた「脳トレ」システムや歩行解析ツールといった、業界注目の最先端システムも導入されています。
心も体も元気を取り戻せる「新しいスタイルのフィットネス施設」として、今後注目が高まることでしょう。

 

(令和4年2月取材)

コーヒー好きのスタッフから「おいしい淹れ方」を習って、スタッフにふるまう長田さん